NPOの事務局や、その他事務をナリワイにする人が、
毎日の仕事をゴキゲンに創造し、
その知恵をつなぐ場を作る「ジム(事務)のジム」。
定型に思える、「作業」になりがちな仕事を頭や手を使って、
クリエイティブに取り組んでいくことで、
いろんな職場を支える事務方のみなさんを
応援できればなぁと思っています。
そんなこんなで始まりました、「ジムのジム」。第一回は巻物を作ります。
法律によって、置いておかなければいけない書類がいくつかあります。
NPO法人が常備させなければならない書類
・定款
・役員名簿
・最新の事業報告書や決算報告書
参考:特定非営利活動促進法第二十八条
こういう書類って、業種や法人の種類によって内容は違いますが、
どこでも「しょーがないなぁ」と倉庫の奥でほこりを被っていることが
多い気がします。
でも、なぜ常備が義務づけられているか一回立ち止まって考えてみると、
大事なことが分かることもあります。
まず、定款って何でしょうか?
会社,公益法人,社団法人の組織,活動を定めた根本規則またはこれを記載した書面。会社をはじめ,各種社団法人を設立するときは必ず作成しなければならない。
定款とは、団体が活動するときに基本となる決まりごとをまとめたもので、
法人を作る時には、必ず必要とされる書類です。
定款とは、法人がなぜ自分たちは存在しているのか
そしてどのように存在していくのかをまとめた、
いわば憲法のようなものです。
社会により良いインパクトを提供するために、
新しい価値を創造するNPO法人だからこそ、
自分たちが根っこで何を大事にしているのかを
日々意識しながら、柔軟に活動を行なう必要があると
私は考えます。
だから、スタッフのみんな含め、
NPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボに
何らかの形で関わる皆さんが、定款にもっと親しめるようになるといいなと
思い、夏休みの自由研究として、巻物作りにチャレンジしました。
作り方はこちらを参考にしました。
リンク先では、マーブルチョコの容器を使用してましたが、
定款はかなり文字量多いので、大きめにA4サイズで作ろうと
ラップの芯に紙を巻き付けることにしました。
余談ですが、Facebookで
「一人暮らしの家じゃ、ラップなかなか終わらない!
巻物作れない!」とヘルプミーしたところ、
以前中山地域支援の仕事のため、新潟の豪雪地帯に赴任していたときに
知り合った人から、「家にラップありますよ。今日横浜出張なので、持っていきます」
とラップの芯を寄付いただきました…!
こへびパワー恐るべし。ありがとうございます!
さくらWORKS<関内>にてしれっと、大地の芸術祭宣伝してますよー。
とまあ、みなさまのご支援のもと、巻物作りは進みます。
紙のサイズが大きいので、台紙には大洋紙を使用。
あ。新潟県民以外のみなさまは模造紙っていうんでしたっけ。この紙。
ラップの芯に合わせると、縦30cmがちょうどよかったです。
紙1枚辺り、この高さの紙が2枚取れます。合わせて
A4用紙9枚がぴったり入るくらいでした。
久しぶりの工作なので、頭と手をフル稼働させました。
というわけで、お昼休憩も挟みつつ、制作を進めます。
仕事しながら、スーパーに特売100g77円の相ひき肉買いに行きながら、
(今日はハンバーグです)、『シン・ゴジラ』の感想ツイート漁ったりしながら、
ずるずると3時間ほどの作業で完成。
多分ちゃんとやれば2時間もかからずにできるかと…。
手作り感にあふれた仕上がり。
べろーんと広げてみる。
忍術!定款第2章 「目的及び事業」の参照!
横浜コミュニティデザイン・ラボは
「横浜市を中心に、面白く楽しい街づくりの研究・実践機会を、
地域に住む人に提供することで、地域のつながりを新しくデザインする」
ことを目的にした団体ですと。
まちづくりかつ、中間支援系のNPOなので、なかなか何をしているか
実態の捉えづらい当団体ですが、
「横浜をおもろく・楽しくする個人・団体のパワーを120%にする
手伝いをしまっせ」という、根本的な団体が存在する意味に
改めて気がつきました。
定款には何が書いてある?
巻物を作ってみて、定款を定期的に読むことで
団体の「大事にしていること・作っていきたい未来や価値」
を見つめなおす機会を得られることが分かりました。
団体のあり方を考えるために大切な定款。
どんな内容が書かれているでしょうか?
ちょっと項目多いので、ざーっと目を通してください。
定款に記載しなければならない事項としてNPO法が規定している事項は下記のとおりです。
1.目的
2.名称
3.その行う特定非営利活動の種類及び当該特定非営利活動に係る事業の種類
4.主たる事務所及びその他の事務所の所在地
5.社員の資格の得喪に関する事項
6.役員に関する事項
7.会議に関する事項
8.資産に関する事項
9.会計に関する事項
10.事業年度
11.その他の事業を行う場合には、その種類その他当該その他の事業に関する事項
12.解散に関する事項
13.定款の変更に関する事項
14.公告の方法
要するに、「私たちは、○○という名前の団体で、ここで定めた
未来を作るために、定款で定めた場所を中心に活動します」という
原則を、まんべんなく書いているということです。
ここで面白いのが、5と6の項目です。
社員、というのはNPO法人の会員さんのことです。
社員についての項目が、役員についての項目に先立っています。
NPO法人の活動は、会員さんそれぞれが平等に持つ、
表決権によって、「やろうよ!」と決まったことを実行していきます。
NPO法人はそこに集って、何かを成し遂げようとする、
会員さんのための団体です、ということが定款からも分かるという訳です。
他団体の定款も読んでみる
巻物を作ってから、定款がかわいらしく見えてきました。
すると、他の団体は定款をどう書いているのか、気になってきます。
晩酌にビール飲みながら定款を読むようになりました。
そんな中で見つけた、おすすめの定款を紹介します。
LGBTの方も、自分のありのままの心と姿で大人になれる社会の実現を
目指すNPO法人さんです。
どんなセクシュアリティの人でも自分らしく働けるための
セミナーを行なう「LGBT就活」や、
成人式をセクシュアリティも年齢も関係なく、
「「成りたい人になる(=成人)」ための決意をし、
その一歩を踏み出す”あなた”の節目の日」と考えた
イベントを行なう「LGBT成人式」などの活動をしています。
そんなReBitさんの定款がこちら。
(リンクはPDFファイルですみません!)
おすすめポイントは、「第3条 目的」。
現在の日本社会では LGBT と LGBT でない人双方の思い込みにより負の
スパイラルが発生しており、双方とも『LGBT 問題』の『当事者』である。
しかしまだ LGBT のみが『当事者』とされる風潮があり、
LGBT でない人が自分も『当事者』だと認識することは困難である。
この法人は、LGBT 問題を切り口として、
『互いの違いを受け入れあえる社会』を次世代に創出すること目標に、『今』を変えていくことからその実現に取り組む。個人の意識を変えること、
また他者の意識を変えられる個人を創出することで、
『互いの違いを受け入れあえる個人』を養成することを目的とする。
LGBTの方も、「そうではない」方もどちらも
『LGBT問題』の当事者である、という視点が新鮮でした。
差別の問題は、「差別される-する」という二者間のみで
考えがちな中、「その問題を意識すらしていない人たち」も
性の問題に関わる「当事者」である、と考え、
「誰もが、自分らしく生きていける社会」の実現を目指しています。
定款を読むことで、団体の活動の奥にある実現したい社会の姿や、
解決したい課題について深く知ることができます。
NPOの事務局の方も、いわゆる「会社勤め」の方も、
今一度、自分の働く法人の定款を読みなおすことで、
毎日の仕事がどこへ向かうのか、「日々の業の宛先」
が分かるのではないでしょうか?
自分の仕事が誰のどういう未来に向かっているか
見つめなおすことで、毎日の仕事にちょっと前向きに
取り組めるかもしれません。
定款を読んでみたい!という人は
法人の背骨を決めるともいえる定款。
いろいろな団体の定款を読み比べるのも面白いですよ。
市民活動を行なう各団体の定款を読めるサイトがこちら。
定款の他にも、日本全国で社会に新しい価値を提供する団体の
活動や財務の状況を知れる、一大サイトです。
探検してみると、面白い団体さんとの出会いがあるかもしれません。
ではではまた!