残暑お見舞い、申し上げます。
給与日前に、とあるインターン生から
「セミの抜け殻ひろったんですけど、どうやって食べればいいんですか?」と聞かれ、「もやしと、オフィスに生えてるねぎと一緒に、多めのごま油で炒めて
中華だしとオイスターソース、じゃないかな」
と真剣に答えてしまった、鮫肌です。
先ほどの話はちょっと冗談なんですけど、
「NPO職員って、生活できるの?」とよく聞かれます。
先日、Twitterでこんなツイートを見つけました。
日本のNPOや社会的企業で働いている人で、燃え尽き症候群になった人の話しとか、1日12時間働いてるとか普通とかいう話を聞くとぞっとする。一部のホワイト非ん営利を除いて、これはある意味営利のブラック企業よりもタチが悪い。やりがいを「搾取」しているから。
— 両角達平 (Tatsuhei.M) (@tppay) 2016年8月4日
悲しい話ですが、かなり共感してしまいました。
実際、自分の周りでも、週1日休めていない職員さんはいらっしゃいます。
深夜飛び交うメールやメッセージでのやりとりを、
そっと横目にすることもあります。
「事務局ブルー」はなぜ起きる
火事場の馬鹿力を毎月出しつづける。人手が足りていない非営利セクターの
現場はそんな感じのところが多いです。
わたしもそういう状況になったことがあります。
総務経理人事全部回しながら、イベントの運営をして、
来月の企画書を書いて。その合間に、インターンの面談を挟み、
宅配便の荷受けをして。
さらに、任せていただいた経理などのバックヤードの業務については、
簿記やFPの資格を持っていたというだけで、
実務は未経験でした。
分からない事があっても、ネットで調べるのに2時間。
それで分かればまだいい方で、それで分からないときも多く、
行政のどこに聞けばいいか、また調べるのに2時間。
そしてたどり着いた部署との、アポイントをとるのに1時間。
1週間後ようやく会えて、そこでもらった申請書書くのに3時間。
また、それを提出するのに1時間かかる、なんてこともざらになりました。
ひとつひとつの作業に時間がかかります。
さらに、毎月、業務委託お願いしている人や他の職員の給与、家賃を
どこから捻出するか考え、どうにかしていく日々の中で、
いつの間にか、夢の中で仕事をして、早朝冷や汗かいて目が覚める、
という事が増えてきました。
家に帰っても眠れない日が続くと、頭の後ろが鉛みたいに重くて動かなくなります。
他の人から何か頼まれることが、精神的に負担に感じるようになったり、
そう思う自分への嫌悪から、また作業が遅くなります。
文章が読めなくなる上に、コミュニケーションを取る余裕もないので、
メールの返信をしたくても、手が止まります。
なぜか涙が出てきてトイレに走ることもありました。
「できるところまででいい」といえない仕事もある
「他のひとにお願いできるところは頼んだら?」、
「できるところまでにして休んだら?」
そんな風に言ってくれる人もいました。
事務作業には得手不得手があります。
桁の多い数字を複数行読み込むことや、
2回・3回と誤りがないか確認することは、体力が必要な仕事です。
自分が担当している仕事をお願いするために、
税制から伝票の書き方までルールを一つ一つ教える必要があります。
教える方も教わる方も疲れますし、人手がぎりぎりの中で、
そうした「裏方仕事」を伝える時間も残っていない、というのが
正直なところです。
しかも、「期日までに支払う」、「締切までに特定の様式で規定の書類を提出する」
といった自分が担当している業務は、個人やそれぞれのルールの中で動いている他の
企業・官庁といった「相手」がいることです。
そうしたものを、「やれるところまで」と止めることは、
むずかしいことが多くあります。
だったら、業務を外注したらと提案してくださる方もいらしたのですが、
団体が持つ予算の現状を把握している中で、
さらに新規で費用を計上することが、自分の働く団体にどう影響するのか
分かっているため、「もっと余裕があればいいんですけどねー」
と、からから笑うことしかできなくなっていました。
休めないひとは、笑っていてほしいひとだから
事務局の職員は、毎日の「頼めない・逃げられない」業務に加えて、
非営利セクターが「本来」行なうべき「活動」を行なうための
業務にも対応していかなければなりません。
担当者が今どれだけ忙しいか観察しつつ、
申請書やスケジュールを先に作っておきます。
外出の多い担当者から、話を聞いてもらえそうなタイミングを見計らって、
作ろうとした書類で足りていなかった情報を教えてもらう必要もあります。
そんなことをやっているなかで、
「あ。先月の交通費、まだ出してなかったのー。早めにほしいな」と
月中に請求書出された日には、
ソウルジェムがグリーフシードに替わっちゃう勢いで、心が濁るわけですね。
社会に対して、何かしないとと立ち上がった人を支援したい、
と思って事務局に入ったはずなのに、いつのまにか気持ちが
閉まっていくわけで。
逃げられない仕事をしている人が、倒れちゃいけない人であることが
とても多いのが、非営利セクターの事務局です。
じゃあ、どうしたらいいのでしょうか。
行政や議会への提言を行なって、体制を変えていくアクションを
起こすことは必要です。
ただ、わたしは現場に今いるものとして、
他の団体にもいるはずの「活動の根っこを支える人」が
元気でいられるように、その人たちが、
自分たちの仕事や自分たち自身を大切にできる支援を
していきたいなと思っています。
仕事には「コツ」があります。
その「コツ」を分け合う場所ができたら、
支援する人を支援しあえるようになるんじゃないかなと思っています。
「定時に帰るために、作業をこうやって形式化した」、
「ここまでちゃんとやっていれば、官庁からも何か言われない」
というような、「現場の知恵」をWEBやリアルな場所を通して
共有できるといいなと思っています。
事務は体力を使います。
そのための「筋力」をつけたり、
がんばった後は、サウナに入っておしゃべりするような、
ジムみたいな場所を作りたいなと思ってます。
「ジムのジム」…。だじゃれです。
さて、何からやりましょうか
個人的には、NPO会計をもうちょっと分かりやすく、
「そもそも何で普通の商業簿記を形式ちがうの?」
というところから説明しつつ、
「報告するだけじゃない、毎月の会計処理を「未来の活動」に活かしていく会計」
について考えていきたいなぁと思っています。
あと、他団体の活動報告書をいろいろ読みながら、ビール飲む会もやりたいです。
リクエスト募集中でおます。
それでは、そろそろ晩酌の時間なので、またお会いしましょう。