物心ついたころからの夢は「魔法使い」でした。
11歳の誕生日には、どこからフクロウが入学届け咥えて飛んできてもいいように、
教室の窓をフルオープンにしていました、鮫肌です。
結局、フクロウは訪れず、めぐりめぐってNPO職員になりましたが、
毎日の中で小さな「魔法」は起きています。
ある朝、出勤してみるとコーヒーメーカーのよこに、ちょこんと気になる装置が
つけられていました。
正面から見ると、何の目的でつけられたか分かりやすいかな。
コーヒーミルクホルダーをどなたかが作られたようです。
ミニマムな感じがとてもいとおしい。
制作されたのは、こちらの方。
改めて、写真撮らせてもらうのが気恥ずかしいので似顔絵で登場してもらいました。
FabLab Kannaiインターンで、Labの管理人の立川氏です。
FabLab Kannaiについては、何回かこのブログでも取り上げたので、
おさらい程度にご説明すると、
Fab Labとは市民に開かれた、実験的もの作りの場所で、
家具は基本自分たちで作ったものだったり、
こんな感じの3Dプリンタがあったりするところです。
「Learn Make Share」をモットーとし、機材の使い方のコツや制作されたもののレシピを公開することを基本原則としています。
先ほどのコーヒーミルクポケットさんも、上の写真の3Dプリンタを使って作られたそう。ほほう。
さっそく、ミルクを一つもらいましょう。下からひっぱって取ろうとしたら…。
ぺきょ。
うおわああああああぁぁえあぁわほいあいhうぇふぃd。
(声にならない)
「せっかく作ってくれたのに、ごめんなさい。申し訳ない。
来世は海の底でもの言わぬツナ缶になります。」
とジャンピング土下座する勢いで謝罪した私に、
「ああ。そう取りましたか。作り直してきます」
と大変フラットな対応をされる立川氏。
そして、翌日の朝やってきた第二弾がこちら。
2個ミルクが入るようになったよ!
さらに、そこはかとなく補強されています。
ただ、複数ミルクを入れると、まっすぐ入らない状態です。
「なるほど。ミルクがきれいに入る溝が必要ですね。
あとは、下からミルクを取れるように、穴の大きさも検討が必要ですね」
と、考える立川氏。
「快適なコーヒーミルクディスペンサー」を作るための要素を
一つ一つ、作りながら見つけて試して、また考えていきます。
その姿を横で眺めていて、「Fab Labってそういうことなのか」と
納得したことがありました。
3Dプリンタやレーザーカッターがあれば、Fab Labとして完成するのかといったら、
違うなと気づきました。
立川氏の、「使いやすい道具の条件」を考えて、実験して、また作り直してという
過程がFab Labなんですね。
人が道具を作ると普通は考えがちですが、ほんとうは「道具で人は作られている」部分もあるわけです。
例えば、スマートフォン。いつでも情報をキャッチアップできる端末として開発されました。
その一方で、LINEが「既読」になっていても数時間返信が来ないだけで、「なんか変なこと言ったかな?」と思ってしまうなど、
「連絡できない不安」が起きる間隔が異様に狭まり、その怖さが増大しています。
道具が人の行動を作る。日々の行動の集積が、歳月となり、人生となる。
そう考えるのであれば、道具が人生を作っている、といえるのではないでしょうか。
「●●のために使える、新しい道具を作ろう」と必要な要素を一つ一つ検討していくことは、「どういう未来がほしいか」という点に帰着するのではないでしょうか。
そして、その過程は、
「なにが私/あなたにとって幸せなのか」ということを考えていく作業そのもの
なのではないでしょうか。
ついつい、Fab Labというと設備面に意識がいきがちですが、
「何気ない毎日をちょっと楽しくする、新しい何か」を作ろうと、
考えながら、手を動かしてみるという小さな挑戦がFab Labの
大事なところにつながっていくんじゃないでしょうか。
未来は日常と地続きで、その日々はきっともっとよくできる。
そんなことを体験できる、Fab Labの機材たちを動かしてみられる
体験会が、今月行われます。
くわしくは、こちら。
「昨日より、一歩おもろい明日」を作ることに、わくわくする方、ぜひ参加ください。
初めましての方も大歓迎です。